平均値と期待値の違い

平均値と期待値の違いについて書きました。

平均にはいくつかの種類があり、加重平均や幾何平均、調和平均などがありますが、ここでは、算術平均のことを指しています。

通常は、平均値というと、算術平均の値のことです。

参考記事 平均値の種類はひとつだけじゃない。算術平均、加重平均、幾何平均、移動平均の違いと使い分け

平均値とは

算術平均とは、個々のデータを全て足し合わせて、データの総数で割ったものです。

$$\bar{x}=\frac{x+y}{2}$$

データxが5個ある場合は、

$$\bar{x}=\frac{x_1+x_2+x_3+x_4+x_5}{5}$$

ですね。

期待値の意味

期待値とは、確率変数の値を、確率による重みを付けて平均した値です。

確率変数とは、その値をとる確率が与えられている変数。

決まった確率規則がある分布が、確率分布で、確率分布に従う変数が、確率分布です。

参考記事 確率変数、確率分布とはなにか

確率的になんらかの値となるものがあったとします。そのときに、なんども試行を続けた際の平均値が期待値です。

\(x\) がとりうる値、\(p\) がその確率とすると、確率変数の期待値\(E(X)\)は、

$$E(X)=\sum_{i=1}^n x_i \times p_i\\=x_1\times p_1+x_2\times p_2+…\\+x_n\times p_n$$

取りうる値とその発生確率を掛けて、すべてを足し合わせると、期待値\(E(X)\)となります。

たとえば、3つの確率変数であれば、

$$E(X)=\sum_{i=1}^3 x_i \times p_i\\=x_1\times p_1+x_2\times p_2+x_3\times p_3$$

となります。

参考記事 期待値の意味と計算方法をコインやサイコロ、ギャンブルゲームで考えてみる

期待値と平均値の違い

確率的に出てくる値の平均値を考えるときには、期待値と呼ばれるものになります。

たとえば、

6の目を持ったサイコロを投げをして、出る目の平均は?というと、これは期待値です。

1、2、3、4、5、6 のそれぞれの目が\(\frac{1}{6}\)の確率で出てくるわけで、その確率の重みをつけた平均を計算しますから、確率的に出てくる値を用いて計算を行います。

確率変数の期待値は、英語でexpectationといいますから、確率的に決まるものごとが、どのようになるか予測値を計算するようなときには、期待値といえます。

6の目が出る場合もあれば、1の目が出る場合もあります。期待値はどうなるでしょうか。

計算方法としては、各数値に確率\(\frac{1}{6}\)を掛け合わせたものを足し合わせます。

各数値に\(\frac{1}{6}\)を掛けます。

1の目 確率\(\frac{1}{6}\) →   \(1×\frac{1}{6}=\frac{1}{6}\)

2の目 確率\(\frac{1}{6}\) →   \(2×\frac{1}{6}=\frac{2}{6}\)

3の目 確率\(\frac{1}{6}\) →   \(3×\frac{1}{6}=\frac{3}{6}\)

4の目 確率\(\frac{1}{6}\) →   \(4×\frac{1}{6}=\frac{4}{6}\)

5の目 確率\(\frac{1}{6}\) →   \(5×\frac{1}{6}=\frac{5}{6}\)

6の目 確率\(\frac{1}{6}\) →   \(6×\frac{1}{6}=\frac{6}{6}\)

次にこれらを合計すると、

$$\frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{3}{6}+\frac{4}{6}+\frac{5}{6}+\frac{6}{6}$$

$$=\frac{21}{6}$$

$$=3.5$$

となります。

一方で、

2つのサイコロが置かれていて、2の面と4の面が出ている状態である。この2と4の平均は?という話であれば、確率的な話はまったく関係ありません。

$$\bar{x}=\frac{2+4}{2}$$

$$=3$$

単純に2と4を足して2で割る計算をして平均値を求めます。これは平均値ですね。

コメント

  1. N より:

    「決まった確率規則がある分布が、確率分布で、確率分布に従う変数が、確率分布です。」とありますが、後者は確率”変数”ではないのしょうか

    Google Chromeで閲覧していますが、「1、2、3、4、5、6 のそれぞれの目が$\frac{1}{6}$の確率で出てくるわけで、」と一部表記がおかしい部分があるので修正願います。