加重平均の意味と計算方法

「平均」というと、一般的に、各データの値を足し合わせ、データ数で割って計算する算術平均をイメージしますよね。実際に、よくつかわれています。

でも、実は平均のにもいくつかの種類があり、用途によってつかい分けられています。

参考:平均値の種類はひとつだけじゃない。算術平均、加重平均、幾何平均、移動平均の違いと使い分け

その平均の中のひとつに、加重平均があります。加重平均は、けっこうつかわれることがありますから、データを取り扱うことがある方は知ってつかえるようにしておきましょう。

この記事では、加重平均の意味や計算方法について、モノをつくる製造工場に関する数値を例として書きました。

加重平均の意味と計算式

加重平均とは、各データに重みづけをして計算する平均値です。

加重とは、より重要なものに重みを加えるという意味であり、その方法で計算した平均が、加重平均です。

三つのデータx1、x2、x3 があり、それぞれの重みがw1、w2、w3 とすると、加重平均の計算式は次のとおりです。

$$x_w=\frac{w_1x_1+w_2x_2+w_3x_3}{w_1+w_2+w_3}$$

または、

$$x_w=\frac{w_1x_1}{w_1+w_2+w_3}+\frac{w_2x_2}{w_1+w_2+w_3}+\frac{w_3x_3}{w_1+w_2+w_3}$$

データxがn個、それぞれの重みwもn個分あるとしたら、

$$x_w=\frac{w_1x_1+w_2x_2+…+w_nx_n}{w_1+w_2+…+w_n}$$

または、

$$x_w=\frac{w_1x_1}{w_1+…+w_n}+\frac{w_2x_2}{w_1+…+w_n}+…+\frac{w_nx_n}{w_1+…+w_n}$$

となります。

どのようなときに使われるかというと、たとえばこんなときです。

ある定食屋で、Aランチ、Bランチ、Cランチの3種類のメニューがあり、それぞれ、

  • Aランチ・・・500円
  • Bランチ・・・600円
  • Cランチ・・・700円

であったとしましょう。今日の売上数はこうでした。

メニュー 料金 売上数
Aランチ 500円 10
Bランチ 600円 10
Cランチ 700円 20

今日1日のメニューの平均売上を計算するときには、加重平均をつかいます。

その前に、単純な算術平均を計算してみましょう。3種類のメニューの料金をそれぞれ足し合わせて3で割る、という単純な平均では、

$$\frac{500+600+700}{3}=600$$

です。しかし、これは誤りです。

なぜなら、Cランチがいちばん売上数が多いのに、それが加味されていないからです。

3種類のメニューそれぞれの売上数量を加味して、計算をしなくてはいけません。

全体の売上数は40食で、そのうちAランチは10食、Bランチは10食、Cランチは20食の売上数です。

700円のCランチは、ほかのメニューよりも2倍売れていますから、平均に与える影響が大きくなります。ですので、そのぶんの重みづけをして、平均を計算する必要がありますよね。

Aランチには、10/40

Bランチには、10/40

Cランチには、20/40

の重みづけをして平均値を計算します。

$$x_w=\frac{10\times 500}{10+10+20}+\frac{10\times 600}{10+10+20}+\frac{20\times 700}{10+10+20}$$

$$x_w=\frac{25000}{40}$$

$$x_w=625$$

となります。

単純な平均は、600円でしたが、加重平均では、700円のメニューに強く重みづけしたぶん、平均値が625となり、大きくなっていますね。

簡単に加重平均について説明してきました。

ここからは、とある製造工場の歩留まり率という数値計算を例題として、加重平均を考えてみます。

歩留まりとは

まず、加重平均を考える前に、歩留まりについて説明します。

工場の生産性の指標として「歩留まり率」と呼ばれる指標があります。

歩留まりとは、投入した原材料から完全に活用された場合にできる最終製品に対する、実際にできた製品の比率のことです。

製品をつくるときには、原材料を全て上手く使い切れなかったり、製造工程でのミスによりロスが出てしまったりするので、100%の歩留まりになることはほぼありません。95%とか、98%といったような数字になるでしょう。

仮に、歩留まり率100%であれば、投入した原材料が一切の無駄なく活用され製品になったことになります。実際にはそのようなことはほとんどなく、原材料のロスが少なからず出るのがふつう。

鉄板を打ち抜いて加工品をつくるときには、残った部分がロスになりますし、衣服を裁縫するために使用した生地には使われない部分も出てきますよね。

とはいえ、歩留まり率を向上させることは、そのぶん利益が向上することになるわけですから、どのメーカーでも歩留まり率を100%に近づけていく努力しています。

工場の歩留まり率の計算をしてみる

さて、とある製造工場の現場をのぞいてみましょう。毎日歩留まり率の数値を出して、チェックしているようです。

これが、1週間のデータです。原材料を100%活用して製造できる理論上の数量を、理論製造数とします。これに、製品として出荷できる完成品が占める割合が、歩留まり率です。

理論製造数 完成品数 歩留まり率
1日目 10,000 9,500 95%
2日目 14,000 12,600 90%
3日目 12,000 9,600 80%
4日目 16,000 15,200 95%
5日目 10,000 8,500 85%

日によって製造数が変わっていることに注意しながら、この期間の平均歩留まり率を出してみましょう。

1日目から5日目までの歩留まり率を足し合わせて5で割ると、

(95%+90%+80%+95%+85%)/ 5 = 89.00%

89.00%になります。

これは、各データの数値を足し合わせて、データ数で割って計算した平均は、算術平均と呼ばれるものです。

さきほどお伝えしたように、算術平均値では間違いとなってしまいます。

それぞれの日の製造数に差があり、それぞれの%データの重みが異なりますから、その重みを加味して計算しなければいけません。

4日目の製造数が多いのですから、4日目・95%の影響が大きくならないとダメです。

そこで登場するのが、加重平均です。

加重平均を使用したほうが正しい平均の数値をあらわすことができます。では、加重平均を計算していきましょう。

加重平均の計算方法

まず、単純な算術平均と、加重平均にどのような違いがでるのか、わかりやすく1日目と2日目だけで考えてみましょう。

  • 1日目の歩留まり率 95%
  • 2日目の歩留まり率 90%

算術平均をすると、

$$(95+90)/2=92.5%$$

となりますが、これは上に書いたように正しい平均ではありません。

なぜかというと、製造数は1日目の10,000個に対して、2日目は4000個も多い14,000個であり、2日目の90%の方が重みがあるのに、単純に95%と90%を足して2で割ると、それが反映されないからです。

2日目の90%のほうが重みがあるのですから、1日目と2日目の歩留まり率の加重平均は、92.5%より低く、90%のほうに寄った数字になるはずです。

実際に加重平均を計算してみると、数値は92.08%となります。

$$x_w=\frac{10000×95%}{10000+14000}+\frac{14000×90%}{10000+14000}$$

$$x_w=92.08$$

2日目の90%の方が重みがあるため、単純な平均である92.5%よりも90%のほうに引っ張られたわけです。

これと同じような具合で、5日分の加重平均を計算してみましょう。

加重平均の計算方法には、つぎのふたつがあります。

  • それぞれのデータに重み付けをして足し合わせて計算する方法
  • %の数値は使用せず、5日間の「理論製造数の合計」と「製品数の合計」から計算をする方法

です。それぞれ説明してきます。

それぞれのデータに重み付けをして足し合わせる

上にのせた表を再度掲載します。

理論製造数 完成品数 歩留まり率
1日目 10,000 9,500 95%
2日目 14,000 12,600 90%
3日目 12,000 9,600 80%
4日目 16,000 15,200 95%
5日目 10,000 8,500 85%

各日付の重みはどのくらいかというと、5日間の製造数の合計が62,000個ですから、62,000個のうちどれだけを製造したかが各日付の重みになります。

  • 1日目の重み 10,000 / 62,000 = 0.1613
  • 2日目の重み 14,000 / 62,000 = 0.2258
  • 3日目の重み 12,000 / 62,000 = 0.1935
  • 4日目の重み 16,000 / 62,000 = 0.2581
  • 5日目の重み 10,000 / 62,000 = 0.1613

これが各日付の重みになります。合計すると1になります。この重みをそれぞれの日の歩留まり率に、かけ合わせます。

  • 1日目 95%×0.1613=15.32%
  • 2日目 90%×0.2258=20.32%
  • 3日目 80%×0.1935=15.48%
  • 4日目 95%×0.2581=24.52%
  • 5日目 85%×0.1613=13.71%

足し合わせると、89.35%になります。※小数第2位まで表示。

5日間の「理論製造数の合計」と「完製品数の合計」から計算をする

%の数字は使わず、5日分の合計製造数と、完成した製品数から計算をします。

5日間の理論製造数が62,000個、完成品数が55,400個ですから、

55,400÷62,000=0.893548

89.35%となります。上の計算で出た値と一致しました。

単純平均と加重平均の違い

上記データで間違ったやり方で、単純に1日ごとの%の平均値をとると、

(95%+90%+80%+95%+85%)/ 5 = 89.00%

89.00%となります。加重平均の89.35%とは異なることがわかります。

まとめ

加重平均は、それぞれのデータの重要度に合わせて重みづけをしたうえで計算した平均です。

%の合計など、各データに重みづけをしたほうがより現実を的確にあらわせる場合、加重平均を使うようにします。

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コメント

  1. nao より:

    お世話になります。ブログ拝見しております。

    >5日間の製造数の合計が66000個

    >1日目の重み 10,000/66,000=0.212121
    >2日目の重み 15,000/66,000=0.227273
    >3日目の重み 12,000/66,000=0.181818
    >4日目の重み 10,000/66,000=0.151515
    >5日目の重み 15,000/66,000=0.227273
    のところなのですが、
    表と数値の値が異なっております。
    もしお手間でなければご修正いただいたものを拝見したいのですが、可能でしょうか。
    よろしくお願いいたします。

    • tourou より:

      表と文章の値を直して一致させました。ありがとうございます。

  2. Shower より:

    すみません、間違ってたら申し訳ないのですが、恐らく、定食の荷重平均の例の式が、10*700になっており計算が合わないと思います

    • tou より:

      申し訳ありません。ご指摘のとおり数字が間違っており、修正をさせていただきました。