この記事では、組み合わせについて説明しますが、まずは、組み合わせと順列の違いを見ていきましょう。
順列については、こちらの記事に書いています。
組み合わせと順列の違い
5つの中から3つのポスターを選んで壁に並べて貼ることにします。
この\(n\)個の中から\(r\)個のものを選んだ並べ方を「順列」といい、次の式で計算することができます。
$$_n P _r=\frac{n!}{(n-r)!}$$
※Pは「permutation(パーミュテーション)」の略
この式に当てはめると、
$$_5 P _3=\frac{5!}{(5-3)!}$$
$$=\frac{5\times4\times3\times2\times1}{2!}$$
$$=\frac{5\times4\times3\times2\times1}{2\times1}$$
$$=5\times4\times3$$
$$=60$$
60 通りの選び方があるわけです。
あるいは、3回ポスターを選ぶときのそれぞれの選択肢の数を掛けあわせる、と考えてもよいでしょう。
$$5\times4\times3=60$$
3つのポスターの並び順を考慮すれば、たしかに60通りあります。
5つのポスターをそれぞれ、A・B・C・D・E とすれば、そのうち3つを選んで並べると、ABC、ACD、BCA、CAE、DEAなどの色々な並びが、60通りできるわけです。
この中で、並び方の順序は違うけれど、選んだポスター自体は同じであるという場合があります。
たとえば、
- ABCの順序でポスターを選んだ場合
- BCAの順序でポスターを選んだ場合
これらは、選ぶ順番は異なっていますが、組み合わせとしては同じです。「順列」では並べる順序を問題にしていますから、ABCとBCAを別としてカウントしてます。
ここで、順序はどうでもよいと考えるとしたら、選び方は60通りよりも少なくなりますね。
この順序はどうでもよい選び方のことを「組み合わせ」といいます。
「組み合わせ」は、並べる順番は関係なしで考えます。
- ABCの場合
- BCAの場合
は、同じポスターを選んでいるのですから、これは2通りあるのではなくて、1通りと考えます。
組み合わせの記号
\(n\) 個のものから、\(r\) 個を取るときの組み合わせは、記号では、
$$_n C _r$$
と表します。
※英語で「Combination(コンビネーション)」というので、その頭文字の$C$です。
5個のものから3個のものをとる組み合わせの数は、
$$_5 C _3$$
と表します。
組み合わせの計算
組み合わせの計算の考え方
さて、組み合わせの計算です。
5個のポスターから3個を選び出す順列は60通りの選び方があるのですが、組み合わせの場合だと、順序は関係がないので、選んだもの自体は同じだけど順序が違うだけのものは、除外して考えます。
並び順が違うだけであれば、それが2つあっても、3つあっても、1つとしてカウントしてしまいます。
重複したものを除外するときにどうすればいいのかというと、順列の並べ方の数を「\(r!\)」で割ってやると計算ができるのです。
\(n\) 個のものから\(r\) 個をとる「順列」の計算式はこうでした。
$$_n P _r=\frac{n!}{(n-r)!}$$
\(n\) 個のものから\(r\) 個をとる「組み合わせ」の計算式は、次のようになります。
$$_n C _r=\frac{n!}{(n-r)!}÷r!$$
$$=\frac{n!}{(n-r)!\times r!}$$
ポスターを選ぶときの例題を考えてみます。
さきほどの例題からポスターの枚数を減らして、A・B・C・Dの4つのポスターから2つを選びだすときのことを考えてみましょう。
まず、「順列」を計算してみます。
$$_n P _r=\frac{n!}{(n-r)!}$$
$$_4 P _2=\frac{4!}{(4-2)!}$$
$$=\frac{4\times3\times2\times1}{(2\times1)}$$
$$=4\times3$$
$$=12$$
12通りになりました。実際に書き出してみると、
- AB
- AC
- AD
- BA
- BC
- BD
- CA
- CB
- CD
- DA
- DB
- DC
となります。
ひとつめにAを選んだときに、次に選ばれるのは、A以外のB・C・Dの3つです。ひとつめにBを選んだときに、次に選ばれるのは、B以外のA・C・Dの3つです。
ひとつめに選ばれるのは4パターン、次に選ばれるのは3パターンありますから、それを掛け算する方法でも、順列は計算できます。
4×3=12
12通りです。
この12通りのうち、重複しているものはというと、
- AB → BA と同じ
- AC → CA と同じ
- AD → DA と同じ
- BC → CB と同じ
- BD → DB と同じ
- CD → DC と同じ
の6通りあります。
重複したものを除外して考えると、
12-6=6
12通りあったものが、6通りになりますね。
順列を「r!」で割る理由
順列の12通りから重複したものを除外した、組み合わせの数は、6通りになりました。
これは、順列の12通りを「\(r!\)」で割った数と一致しています。
\(_n P _r\) が順列の計算式です。
4個のものから2つのものをとる順列は、\(_4 P _2\) となります。
\(r!\) は、2!=2 です。
12通りを\(r!\) で割れば、
12÷2=6
となりますね。
順列の数を\(r!\) で割るのは、重複したものをちょうど除外する効果があるのです。
組み合わせの計算式
\(n\) 個のものから、\(r\) 個を取るときの順列と組み合わせを比較すると、
順列\(_n P _r\)を、\(r!\) で割ったものが、組み合わせ\(_n C _r\) になります。
つまり、組み合わせは、
$$_n C _r=\frac{_n P _r}{r!}$$
です。
順列は、\(_n P _r=\frac{n!}{(n-r)!}\) ですから、
$$ _n C _r=\frac{_n P _r}{r!}$$
$$=\frac{n!}{(n-r)!}÷r!$$
$$=\frac{n!}{(n-r)!\times r!}$$
となります。
A・B・C・Dの4つのポスターから2つを選びだす組み合わせは、何通りあるかを数式で計算するとこうなります。
$$_n C _r=\frac{n!}{(n-r)!\times r!}$$
$$_4 C _2=\frac{4!}{(4-2)!\times 2!}$$
$$=\frac{4\times3\times2\times1}{(2\times1)\times(2\times1)}$$
$$=\frac{24}{4}$$
$$=6$$
4個のものから2個をとる組み合わせは、6通りとなります。
簡単に計算できるやり方としては、
\(n\) から\(r\) 個分、数字を減らしていきながら掛け算をして順列を計算し、その後 \(r!\) で割ればいいでしょう。
\(n\)=4、\(r\)=2、としたら、4から2個分掛け合わせるので、順列は4×3=12です。
そして \(r!\) で割ればいいので、12÷2!=6となります。
実際に計算するときには、エクセルのCOMBIN関数や、関数電卓などをつかうとよいでしょう。
コメント
LaTex使った方がいいですね…
コメント・ご指摘ありがとうございます。LaTex…調べて見てみます。