期待値の意味と計算方法ついて、コインやサイコロ投げ、ギャンブルゲームを例にして書きました。
期待値の意味
期待値とは、確率変数の値を、確率による重みを付けて平均した値です。
別のいい方では、色々な値をとる確率変数の平均値。
確率的になんらかの値となるものがあったとします。そのときに、なんども試行を続けた際の平均値が、期待値です。
きっとこのくらいの値になるだろうなと期待する値です。予測値ともいえそうですね。
「コイン投げで表が出るか・裏が出るかのどちらかにお金を賭け、当てることができれば100円もらえて、ハズれると200円取られるゲーム」について考えてみましょう。
このゲームを何度も繰り返したときに、平均的には、どのくらいの金額が手に入りそうでしょうか?
この数値が期待値です。
あなたが、表が出るほうに賭けたとしましょう。
・表が出たら、あなたは、100円もらえます。
・裏が出たら、あなたは、200円とられます。
当然ですが、コインを投げて、
- 表が出る確率は、$\frac{1}{2}$
- 裏が出る確率も、$\frac{1}{2}$
です。もらえる金額・取られる金額と確率は、
- 表が出て100円もらえる確率は、$\frac{1}{2}$
- 裏が出て200円取られる確率は、$\frac{1}{2}$
になります。
何度もこのゲームを繰り返したら、あなたがもらえる金額はいくらなのか?または失う金額はいくらなのか?を計算するのが期待値です。
期待値の計算は、得られる(または失う)金額に、そうなる確率を掛けて、足し合わせることで、計算できます。
$$+100円\times \frac{1}{2}=50$$
$$-200円\times \frac{1}{2}=-100$$
これらを足し合わせると、
$$50+(-100)=-50$$
このゲームをすると、平均的にはマイナス50円。つまり、1回やるごとに50円失っていくことになります。
期待値を計算する式
確率変数の期待値は、英語でexpectationで、$E(X)$と書きます。$x$がとりうる値、$p$がその確率とすると、
$$E(X)=\sum_{i=1}^n x_i \times p_i\\=x_1\times p_1+x_2\times p_2+…\\+x_n\times p_n$$
取りうる値とその発生確率を掛けて、すべてを足し合わせると、期待値$E(X)$となります。
たとえば、3つの確率変数であれば、
$$E(X)=\sum_{i=1}^3 x_i \times p_i\\=x_1\times p_1+x_2\times p_2+x_3\times p_3$$
となります。
以上は、離散型の確率変数についてでした。離散型とは、とびとびの値をとるものです。
一方で、サイコロの値などのように飛び飛びの値をとるのでなく、連続的にとるものです。重さ、サイズ、温度などのようなものですね。
連続型確率変数の期待値は、
$$E(X)=\int_{-\infty}^{\infty}xf(x)dx$$
となります。この記事では、離散型の事例をあげて計算方法など説明しています。
期待値の計算方法(サイコロを例に)
期待値の計算方法をシンプルに書くと、
- 取りうる値と確率を掛ける
- それらを合計する
です。
サイコロを振ったときに出る目は 1~6 の数字です。この数の期待値を計算してみます。
6の目が出る場合もあれば、1の目が出る場合もあります。期待値はどうなるでしょうか。
「どのくらい期待値となるか?」は、「何度もサイコロを振ったときに出る目が、平均的にはどうなるか?」という意味です。
1、2、3、4、5、6の目が出る確率は、それぞれ$\frac{1}{6}$です。各目には$\frac{1}{6}$ずつの重みがあります。
計算方法としては、各数値に確率$\frac{1}{6}$を掛け合わせたものを足し合わせます。
各数値に$\frac{1}{6}$を掛けます。
1の目 確率$\frac{1}{6}$ → $1×\frac{1}{6}=\frac{1}{6}$
2の目 確率$\frac{1}{6}$ → $2×\frac{1}{6}=\frac{2}{6}$
3の目 確率$\frac{1}{6}$ → $3×\frac{1}{6}=\frac{3}{6}$
4の目 確率$\frac{1}{6}$ → $4×\frac{1}{6}=\frac{4}{6}$
5の目 確率$\frac{1}{6}$ → $5×\frac{1}{6}=\frac{5}{6}$
6の目 確率$\frac{1}{6}$ → $6×\frac{1}{6}=\frac{6}{6}$
次にこれらを合計すると、
$$\frac{1}{6}+\frac{2}{6}+\frac{3}{6}+\frac{4}{6}+\frac{5}{6}+\frac{6}{6}$$
$$=\frac{21}{6}$$
$$=3.5$$
となりました。サイコロの出る目、1回あたりの平均値は3.5となります。これが期待値です。
また、別の計算方法として、出る目すべてを足し合わせて、その個数で割る方法があります。
$$(1+2+3+4+5+6)\div6=3.5$$
同じ結果になります。
選択肢のどちらを選べばよいか判断するときに、期待値が役に立つ
期待値は、「何に使って、何に役立つか?」という疑問に答えていきます。
確率で結果が変わるようなものごとがあった場合、どちらを選べばいいのかを期待値によって判断することができます。これが期待値が役に立つところです。
上記した、コイン投げでお金を賭けるゲームを例に考えてみます。
「コイン投げで表が出るか・裏が出るかのどちらかにお金を賭け、当てることができれば100円もらえて、ハズれると200円とられるゲーム」について考えてみましょう。
このゲームを何度も繰り返したときに、平均的には、どのくらいの金額が手に入りそうでしょうか?
この数値が期待値です。
あなたが、表が出るほうに賭けたとしましょう。
・表が出たら、あなたは、100円もらえます。
・裏が出たら、あなたは、200円とられます。当たり前ですが、コインを投げて、
- 表が出る確率は、$\frac{1}{2}$
- 裏が出る確率も、$\frac{1}{2}$
です。もらえる金額・取られる金額と確率は、
- 表が出て100円もらえる確率は、$\frac{1}{2}$
- 裏が出て200円取られる確率は、$\frac{1}{2}$
になります。
何度もこのゲームを繰り返したら、あなたがもらえる金額はいくらなのか?または失う金額はいくらなのか?を計算するのが期待値です。
期待値の計算は、得られる(または失う)金額に、そうなる確率を掛けて、足し合わせることで、計算できます。
このゲームの期待値は、
$$+100円\times \frac{1}{2}=50$$
$$-200円\times \frac{1}{2}=-100$$
これらを足し合わせて、
$$50+(-100)=-50$$
でした。
このゲームをすると、平均的にはマイナス50円であり、1回やるごとに50円失っていくことになります。
期待値をつかって判断をするならば、
「このゲームをすると、平均的に50円を失っていくのですから、やらないでおこう」
といった判断ができるようになります。
この例は、簡単な話なので、いちいち計算しなくてもわかる話ですが、
「どちらを選んだらいいのだろう?」
「どちらをやったほうがいいのだろう?」
「やるほうがいいか、やらないほうがいいかどちらだろう?」
と考えて判断する際に、期待値の考え方は役に立ちます。
ギャンブル、ゲームで考えるとわかりやすいので、もうひとつゲームの例で考えてみましょう。
あなたの子供は、毎月に2000円お小遣いをあげています。今月のお小遣いをあげるときになって、子供はこんなことを言い出しました。
「ジャンケンをして、勝ったらお小遣いは1500円でいいから、僕が買ったら3000円にのお小遣いをくれない?」
さて、この提案にのっていいものかどうか。
期待値で判断してみましょう。
まずジャンケンの勝敗の確率は、出す手にクセがあってそれを見抜かれているような場合でない限り、勝つ確率$\frac{1}{2}$、負ける確率$\frac{1}{2}$ですから、勝率は$\frac{1}{2}$で考えることにします。3000円に対して$\frac{1}{2}$、1500円に対して$\frac{1}{2}$の重みづけをします。
$$3000×\frac{1}{2}=1500$$
$$1500×\frac{1}{2}=750$$
その結果を足し合わせます。
$$1500+750=2250$$
期待値は、2250円となりました。
このジャンケンを繰り返すほど、それまであげた1回のお小遣いの平均は期待値2250円に近づいていきます。
それだと、もともとの金額である2000円よりも250円多くあげていることになりますから、お小遣いを増やしたくないのであれば、この提案にはのらないほうがよさそうです。子供もなかなか考えていますね。
あくまで、何度も繰り返したときに言えること
平均的にその値になるというのは、あくまでも何度も繰り返したときにいえることです。
最初のうちは、親がジャンケンに連続で勝つことができて、お小遣いが少なくなるかもしれません。
最初にたまたま連勝して2000円より安い、1500円のお小遣いをあげることが続いたとしても、いずれ、3000円をあげる場面も出てきて、結果としては、毎月2250円をお小遣いをあげるのと同じことになります。
やればやるほど、何度も繰り返すほど、期待値に近づいてく。
ジャンケンで勝つ確率は、50%です。勝つことが多く勝率70%になったとしても、次第に50%に収れんしていきます。このように、試行の回数を増やしていくほど、結果は本来の確率に限りなく近づいていくことを、大数の法則といいます。
参考:大数の法則をコイン投げの例でシミュレーションして考えてみる
たくさん何度もやり続けないと、お小遣いの金額の平均は、期待値に近づきません。
少ない回数では、その期待値よりも大きな値が出てくることもあります。ということであれば、1回のジャンケン勝負であれば、期待値を計算してもあまり意味がなさそうです。
期待値は2250円でしたが、お小遣いの金額は、この金額にはならないですよね。
1回や2回の試行では、期待値は役に立たないかも
長期的に、何度も繰り返した場合の平均が、期待値となるのですから、1回や2回行うときには、期待値はあまり役に立たないです。
勝てば10000円がもらえて、負けると10000円が取られるギャンブルをやるとしましょう。
10000円もらえるか、取られるかの勝負です。
勝つ確率は、49%、負けの確率は51%。
となると、期待値は、
$$10000\times0.49+(-10000)\times0.51\\=-200$$
です。
ギャンブルに参加すると、平均的には出したマイナス200円になってしまうのです。
「平均的に負けて損するのだから、やらないでおこう」
期待値を見て判断するなら、そうなりますね。確率的にマイナス200円で負ける勝負に参加する必要はないと考えるわけです。
たしかに、何度も何度もゲームを繰り返していたら、平均的にはそうなります。
しかし、1回だけの勝負であれば、話が少し違います。ひょっとしたら勝つことができて、10000円がゲットできるかも…。負けてしまい、10000円がマイナスになる恐怖もありますけど。
この場合、期待値は、あまり役立ちそうにないですね。
1回だけの勝負をするかしないか考えるときに、やめておこうと判断する材料は、期待値というよりも、単に勝ち負けの確率でしょう。
勝つ確率は、49%、負けの確率は51%で、勝つ確率がわずかだが小さいからやめておこう、と勝負しない人がいるでしょう。
一方で、勝つか負けるかは、ほぼ50%。1回勝負して10000万円もらえるチャンス!と考える人もいるでしょう。1回勝ったら、その後は長くやり続けたりせずに、勝負をやめる。勝ち逃げすればいいんです。