私たちの生活の中で、正しい判断をするために条件付きの確率の知識が必要になることがあります。
条件付きの確率の理解がないと、勘違いをしてしまうのです。
ある感染症の検査を例題として考えてみましょう。
検査精度99%の検査結果
検査の精度が100%でなくて間違いがある場合、検査結果をそのまま正しいと思うのでは、間違った判断をする可能性があります。
とある感染率と検査の精度は、
- 感染率は\(\frac{3}{10000}\)。1万人の中で3人が感染をしている
- 検査の精度は99%で、間違って判定してしまう可能性は1%ある
このようになっている。感染率は0.03%。実際100万人のなかで、
- 感染している人 300人
- 感染していない人 999,700人
がいるとしましょう。
検査の精度は100%であり間違えることがないのであれば、検査の結果で感染しているとわかった人と、感染していないとわかった人数と割合は、上記どおりになります。
しかし、検査の精度は99%で、1%は間違った検査結果になるのですから、
- 実際は感染者なのに、感染していない(陰性)と間違って判定される確率が1%
- 実際は非感染者なのに、感染している(陽性)と間違って判定される確率が1%
あるわけです。
検査の結果では、感染している300人のうち、99%の297人は感染している(陽性)と判定、1%の3人は感染していない(陰性)と判定されます。
感染していない999,700人のうち、99%の989,703人は感染していない(陰性)、1%の9,997人は感染している(陽性)と判定されます。
9,997人が本当は感染していないのに、感染している(陽性)と間違った判定をされてしまうのです。
これは確率の木で見るとわかりやすいです。
実際は非感染者なのに、感染している(陽性)と間違って判定される
感染している(陽性)と判定がでる人は、9,997人+297人で、合計10,294人です。 この10,294人のうち、97.11%の9,997人は、実は感染していないことになります。
検査の精度が99%であり、1%間違う可能性があれば、感染している(陽性)が検査の結果が出てしまっても、ただちに感染していることにはならないのです。
この感染症が難病であるとしましょう。
もしあなたが、検査を受けて感染している(陽性)という結果が出てしまったとしても、絶望を感じるにはまだ早いということです。
この場合であれば、むしろ実は感染していない可能性のほうが高いのですね。
実際は感染者なのに、感染していない(陰性)と間違って判定される
逆に、検査の結果で感染していません(陰性)と判定されるのは、989,703人+3人で、989,706人です。しかし、その989,706人のうち3人は、実は病気にかかってしまっているのです。
「感染していないから、よかった」と思っても実は感染してしまっているのです。
確率の木で、人数なく、%で表すと下図のようになります。
このような精度が100%ではない検査の結果を見るときには、その検査結果が正しいのか間違っているのかを考える必要があります。
検査の結果だけで本当のことがわかるのではなくて、検査を受ける人が感染者であって検査結果が正確だったか、間違っていたかと考えるので、条件付きの確率であるわけです。