製品の重量やサイズをはかって、製品の規格値を確認するときに気を付けたいことがあります。それは、測定誤差です。
測定誤差
測定誤差は、測定時に発生する誤差で、
- 測定機器による誤差
- 測定作業者による誤差
- 外部条件による誤差
- 偶然誤差
などがあります。
測定機器による誤差
測定機器の不具合などによって常に存在しうる誤差が、測定機器による誤差です。いつも使っている測定器具が実は壊れていて、測定数値が少し小さくなってしまっている、といったことです。
作業者による誤差
作業者による誤差とは、測定作業者の測定機器の使い方によるものです。使用方法が間違っている、目盛りの読み取りのクセがあるなどして、測定した数値に誤差が発生すること。
外部条件による誤差
外部条件による誤差とは、室温や採光などによって出てくる誤差です。たとえば、ある部屋の明るさを測定するときに、窓のある部屋であれば、外は晴れているか曇りか、何時か、窓から日が差しているか、といった条件で部屋の明るさは変わってしまいます。
偶然誤差
原因はわからないが、なんらかの影響で偶発的に発生する誤差です。人間がわからないものは、偶然の誤差ということにして扱います。
測定に誤差はつきもの
測定をするときには、多かれ少なかれ測定誤差は存在します。
同じモノを測定したとしても、測定する人が違うと測定結果は異なる、測定機器を違うと測定結果が異なる。こういったことがありえます。
測定作業者のやり方がおかしい、測定機器がメンテナンスができておらず狂いが生じているといった理由です。
測定をするときには、誤差に注意する必要があります。むかし経験した作業者による測定誤差の顕著な事例を紹介します。
下記のグラフは、ある製品のサイズを測定の結果をグラフにしたものです。他人が行った測定作業の結果を私がグラフでまとめまして、1mm単位の測定で、横軸にサイズ、縦軸がその割合となっています。

グラフを見てみると、50mmだけが多くなっていました。ふつうであれば、平均がグラフの頂点として、左右対称に近い山形を描くはずです。つまり、正規分布に近似した分布であるはずなのです。
人の身長などと同じで、成人男性の平均身長が170cmだとしたら、その付近の身長のひとがもっとも多く、165cm・・・160cm・・・150cmと平均値から離れて小さな値になるにつれて、その身長のひとは少なくなります。
あるいは逆に175cm・・・180cm・・・185cmと、平均値から離れて大きな値になるにつれて、その身長のひとは少なくなる。生産物でも、設計図上で50cmをねらって製品をつくるとしたら、平均値が50cmとなり、かつもっとも数が多くなる。平均値から離れたサイズになるほど、数は少なくなる。
製品の重量やサイズなども規格値の分布は、正規分布に近いものになるのがふつうです。しかし、1点だけが突出していました。
これはどういうことでしょうか。
この製品のサイズ平均値は、約52mm。測定は、定規を使用して1mm単位でサイズを測って記録しました。
製品に定規を当てて、目盛りが49.5mmあるいは50.5mm付近のサイズであったときに、面倒だとかつかれているなどの理由ではっきり読まず、区切りがよい50mmを選んでしまった、ということでしょう。
49.5mmあたりになっていたとき、よく見れば実は49mmのほうに近いのに、パッと見だけでエイヤと50mmとしてしまった。
あるいは50.5mmあたりであったときに、実は51mmに近いのに50mmにしてしまった。
49.3mmを50mmとして、50.7mmを51mmとして記録したということです。
これが何度か重なった結果、50mmと記録された製品数が増えたのでしょう。
これが測定作業者による測定誤差です。
このあたりのことに注意しなくてはいけませんが、
上記の例のように、人が目盛りを見て数字をとる測定では、なんとなくテキトウに測定するのでなく、よく見て正確に目盛りを数えるように注意したいものです。
この測定を行った人は、測定作業をするのが初めての人でした。このときの測定者は測定誤差が存在して、注意しないと発生することを意識していないというか、知らなかったのでしょう(まあ、私がちゃんと教えることができていなかったわけです)。
また、疲れというのも大敵で、測定が正確でなくなってくるでしょう。
測定に慣れていない人や、おざっぱな作業をする人に測定を行ってもらうときには注意を促すようにします。