実験計画法とはどのようなものなのか基本を説明

実験計画法とは、

  • 最適な実験の方法を考える
  • 実験により得られたデータを最適な方法で分析する

ことです。これは、実験の作業の仕方自体の話ではなくて、どのようにデータを集めるのか、どのような設定、条件で実験を行うのかといったことを考えるものです。

よりよい研究・分析結果を得るために行われます。最適な実験の方法を考えないと、よいデータが得られず、よい分析をしたとしても結果が得られないかもしれません。

また、最適な実験の方法を考えて、よいデータが得られても、間違った分析方法を選んでしまうと、なにも答えが導き出せません。

実験計画

実験計画の目的は、効率的で客観的な結論が得られるように実験を計画すること。また、実験の中で得られたデータの解析法として、分散分析があります。

実験をするときには、要因を設定し変化させてみて、結果がどうなるのか見るわけです。

ふつう実験をするときには、要因は複数設定されます。それら一つ一つの組み合わせをすべて見ていくのは大変めんどうです。効率的に実験を進めるために、実験計画法があり、複数要因を一緒に実験をして、一緒に分析をしてしまえる方法として、分散分析があります。

クワガタのエサを変えて実験

ここに、クワガタが大好きな男の子がいます。とくに大きなクワガタが好みなのですが、ちまたで手に入れることができるクワガタは、小ぶりなサイズばかりで納得がいきません。自分でエサであげて、クワガタに大きく育ってもらおうと考えました。そこで、いろいろなエサをあげてみて、どんなエサを与えるといいのか調べてみることにしました。

同じ飼育ケースを3つ用意し、金魚を3つのグループに分けて入れました。エサとして、

  • 一つ目の水槽のクワガタには、砂糖
  • 二つ目の水槽のクワガタには、ゼリー
  • 三つ目の水槽のクワガタには、樹液

を用意し、別々に与えて、どの餌を食べた魚が一番育つのか見てみることにしました。

このとき、この男の子が知りたいのは、どのエサを与えると大きく育ってくれるのか、 エサを変化させることによって、育ちに違いが出てくるかといったことなのですが、 エサ以外にも、クワガタ生育に影響を与える要因はたくさんあります。

クワガタによって、すくすくと育つクワガタもいれば、育ちにくいクワガタがいます。クワガタの個体差があったり、 3つの水槽内を同じ水を使い、同じ砂を入れて、同じ環境を作ったつもりでしたが、少し異なっていたり、 クワガタを測定したときの目盛りの読み間違い、測定誤差があったりなどします。

エサを変えたことだけによる違いを見てみたいのに、その他にもクワガタの生育に影響を与える要因が様々存在しています。

実験で取り上げる要因のことを因子といいます。このクワガタの飼育実験では、エサが因子です。どのエサをあげるのかが、水準と呼ばれるものになります。実験のデータには因子の効果による結果の差異だけでなく、そのほかの何が要因となっているのかわからないような結果の差異、つまり誤差も出てきます。誤差は制御できるものもありますが、制御できないようなものもあります。

分散分析は、実験のデータを、因子による部分と誤差の部分に分けて、因子の効果がどれだけあるのか分析することができます。クワガタのエサの実験であれば、エサが因子で、クワガタの個体差や飼育ケースの水、測定間違いなどが誤差となります。

ある要因を意図的に変化させたり制御して実施した実験で、得られたデータに含まれる情報を要因の変化による部分と、誤差の部分に分離し、意味のある結論を導けるかどうか分析する方法を分散分析といいます。

実験の計画を立てる時に大切なこと

実験を始めるにあたって、まず最初に行うべきことは、

  • 何のためにこの実験を行うのか
  • 因子を変えたらこうなるだろうとどんな仮説を立てるか
  • どうやって実験の誤差を減らすか
  • 何を測るのか、何のデータをとるのか
  • どのくらいデータをとるのか
  • 得られたデータをどのように利用するのか

といった点を考えなければなりません。

私の会社では、メーカーで仕事をしておりますが、 製品の出来栄えをよくするため、あるいは不良ロス率を減らすために、製品の製造工程を変えてみて、その結果を検証することがあります。

これも、いわば実験です。

このときに、何をどう測るのか、どうやって比較するのか、とりあえずやってみよう、と始めてしまうことが多いように見えます。

データをどのようにとるのかを決めていませんから、 サンプル数が無駄に多く労力ばかりがかかってしまったり、 逆に実験した製品数が少なすぎて、改善を試みた結果、違いは出たものの、 本当に差があるのか、よくなったのかはっきりと判断できなかったりします。

数字を使って判断をせず、なんとなく判断をしてしまうのです。 なんとなく○○だろうという人の直観は、けっこういい線いくものではあるのですが、 統計学的な知識があれば、効率的な実験を行えますし、客観的な判断をすることができます。

主効果と交互作用と誤差

上記したエサの違いに加えて、飼育ケースのサイズにも違いをもたせて実験してみることにしました。表にするとこうなりました。

小さい飼育ケース ふつうの飼育ケース 大きな飼育ケース
砂糖  №1  №2  №3
ゼリー  №4  №5  №6
樹液  №7  №8  №9

9の組み合わせができました。

  • 砂糖 × 小さい飼育ケース
  • 砂糖 × ふつうの飼育ケース
  • 砂糖 × 大きな飼育ケース
  • ゼリー × 小さい飼育ケース
  • ゼリー × ふつうの飼育ケース
  • ゼリー × 大きな飼育ケース
  • 樹液 × 小さい飼育ケース
  • 樹液 × ふつうの飼育ケース
  • 樹液 × 大きな飼育ケース

実験の結果、エサの違い、それかた飼育ケースの違いによって、クワガタの成長にも違いが出たとしましょう。このとき、エサという因子単独の効果を、主効果といいます。

それとは異なる効果として、複数の因子が独立しておらず、お互いに影響を与えているとき、因子の組み合わせによって、特別な結果が出てくる場合があります。

全体的にみると、大きな飼育ケースで育てたほうが、クワガタの生育がよかったのですが、ゼリーをエサとした場合だけは、小さな飼育ケースで育てたほうが、生育がよかったという結果が得られたのでした。

飼育ケースとゼリー。その2つの因子に何らかの関係があって、この組み合わせになるとクワガタが成長しやすくなることがわかりました。

このようなものを、因子間の交互作用といいます。小さい飼育ケースとゼリーの交互作用です。

その他、因子とは関係ないもので結果に影響を与えている要因があるでしょう。それは、誤差として取り扱います。誤差は、実験をするうえでコントロールできないものです。

主効果や誤差が、誤差と比較して有意であるかとうか調べるのが、分析です。

クワガタがどのくらい成長したか大きさを測定してみて、因子の違いによってクワガタの大きさに差が出ていたとしても、その主効果が小さくて、誤差が大きいのであれば、意味のある差だとは言えなくなります。

誤差が大きいのだから、主効果があったのでなくて、たまたまそういう値になったのではないのかという話になってしまうわけです。

因子が少し増えるとパターンがものすごく増える

実験のパターン数は、エサの違いだけであれば、

  • 砂糖
  • ゼリー
  • 樹液

の3パターンしかありませんが、そこに、飼育ケースのサイズも3種類用意すると、

  • 砂糖 × 小さい飼育ケース
  • 砂糖 × ふつうの飼育ケース
  • 砂糖 × 大きな飼育ケース
  • ゼリー × 小さい飼育ケース
  • ゼリー × ふつうの飼育ケース
  • ゼリー × 大きな飼育ケース
  • 樹液 × 小さい飼育ケース
  • 樹液 × ふつうの飼育ケース
  • 樹液 × 大きな飼育ケース

一気に9パターンに増えてしまいます。さらに、エサの量を多い、ふつう、少ない、と加えれば、

3×3×3で、27パターンとなってしまいます。27パターンも実験をするのは、ひと苦労です。

しかし、です。

27パターンよりも実験数を減らして、どの要因に効果あるのかを見極める実験方法があるのです。これが効率的な実験を設計する実験計画法の手法の一部です。

実験を行う一部のパターンをどのようにして選ぶかを示すのが、直行配列表です。ラテン方格法なるものをベースにつくられた直行表を使用することで、3×3×3の総当たり、27パターンの実験をしなくても、因子の効果を知ることができるのです。

実験計画法には、このように、実験数を減らしながらも因子効果を調べようとする方法もあれば、分割実験法と呼ばれる、実験がやりやすくなり効率化できる方法、いくつかのブロックに分けて、ブロック内で条件を均一にする乱塊法など、効率的で客観的な結論が得られるようにする手法が、実験計画法にはあります。