時系列分析の基本的な考え方について書きました。
時系列データとは
時系列データとは、時間の経過に沿って記録されたデータです。同じ母集団の調査と記録を、異なる何度かの時期で行えば、時系列データとなります。
たとえは、ある会社の株価の推移です。毎日毎日の売り買いによって、価格が決められ、昨日は○○円だった、今日は○○円だったと記録されていきます。
時系列データを得て、それを分析していくことで、時間の経過によってどのような変化が起きているか、異なる時点間の関係性はどのようなものかを知ることができます。
時系列分析とは
時系列分析とは、時系列データからトレンドを読みとったり、変動の仕方について把握する、そして将来を予測するための分析です。
- トレンド
- 季節変動
- 循環変動
- 不規則変動
この4つの要素に分解して、時系列データを考えることができます。
時系列データの変動の要素
時系列データは、トレンド、循環変動、季節変動、不規則変動から成り立っています。時系列データ分析の目的は、時系列データからトレンドを読みとったり、循環変動を把握することによって、将来を予測できるようにすることです。
トレンド(Trend)
時系列データには、時間の経過とともに増加をする、あるいは減少をする動きが見られます。この持続的な変化のことをトレンドといいます。
傾向変動ともいいます。
たとえば、日本の人口の自然増減数をグラフで見てみます。
出生数と死亡数のプラスの差が自然増減数です。

昭和55年あたりから減少している傾向があります。将来的にも自然増減数はさらにマイナスになっていくだろうと予測できます。
このような長期的に持続した変化のことをトレンドまたは傾向変動といいます。
季節変動(Seasonal)
季節ごとに繰り返される変動です。移動平均法などによって、季節要素を除去します。
季節調整をする方法としては、移動平均法などのように前後のデータ数値をつかって、平準化する方法です。
循環変動(Cycle)
季節変動は12ヵ月間で繰り返す変動ですが、循環変動は、それよりも長い期間で、ある周期性をもって現れる変動のことです。サイクルともいいます。
経済が好景気になったり、不景気になったりするのも、循環変動といえます。
不規則変動(Irregular)
上の3つの変動、トレンド、季節変動、循環変動では説明できない変動を、不規則変動といいます。株価の話でいえば、ある会社が不祥事を起こして株価が暴落したといったものです。トレンドでも、季節変動でも、循環変動でもなく、突発的に起きた株価の変動です。
上記した人口増減数のグラフでは、昭和20年は極端にマイナスになっています。

これは、戦争が勃発したからです。トレンドにも、季節にも循環にも関係のないものです。
時系列分析で将来を予測する
時系列データの変動を分解し、ある時期をtとして、
- 時系列データをyt
- トレンド(Trend)をTt
- 季節変動(Seasonal)をSt
- 循環変動(Cycle)をCt
- 不規則変動(Irregular)をIt
とすると、
yt = Tt + St + Ct + It
と加法モデルとして考えたり、
yt = Tt × St × Ct × It
と乗法モデルとして考えることができます。
時系列データの変動を分解して捉えることで、
- このトレンドがあるなら、長期的に見ると増え続けるだろう
- この季節変動があるなら、来年も今年と同じような変化が起こるだろう
- この循環変動があるなら、2年後には今回と同じような変化が繰り返されるだろう
と予測をすることができるようになります。