数学において、数式の足し算の順番を変えたり、掛け算の順番を変えたりしても、同じ結果になるという法則があります。
この記事では、
- 交換法則
- 結合法則
- 分配法則
について、説明していきます。
統計学を学んでいると数式が出てきますが、数学の基礎的な法則を知っておかないと、「なんのこっちゃわからない」と思う場面に遭遇してしまいます。
挙げる例は簡単なものではありますが、数学の法則を知っておくと、数式を読み解くことがしやすくなります。
交換法則
足し算と掛け算は、順番を逆にしてもよい、という法則です。
3+4+5 = 5+4+3
3×4×5 = 5×4×3
この式が成り立ちます。
- 足し算の交換の場合は、加法の交換法則
- 掛け算の交換の場合は、乗法の交換法則
と呼ばれます。
3+4+5であっても、5+4+3であっても、いずれも合計値は12 となり、同じ結果です。
3×4×5であっても、5×4×3であっても、同じ結果になります。これの何がよいかというと計算の順番を操作できるという点です。
たとえば、
30,000×4×5
といった計算式があった場合に、最初に大きな桁から計算するとやりにくいです。
30,000×4=120,000
120,000×5=・・・
と、桁が多い数値を使って2回掛け算することになります。しかし、順番を変えて、
4×5×30,000
の順番で計算すれば、まずは、
4×5=20
と計算して、
20×30,000
と計算すればいいので、
一の位がゼロになるので、わかりやすく計算もしやすくなります。交換の法則に基づいて、順序を入れ替えて、自分が計算しやすいようにできるのです。
結合法則
足し算、または掛け算であれば、どの部分を先に計算してもよいという法則です。
(3+4)+5=3+(4+5)
(3×4)×5=3×(4×5)
これは、順番が変わってもいいという交換法則が成り立つのですから、結合法則も成り立つことがわかります。
(3+4)+5=12
3+(4+5)=12
いずれにしても計算の結果は12となります。
(3×4)×5 = 60
3×(4×5)= 60
どちらとも計算の結果は、60となります。
分配法則
足し算と掛け算が一緒に登場するときの法則です。
3×(4+5)= 3×4 + 3×5
3×(4-5)= 3×4 - 3×5
掛けてから足し算しても、足してから掛け算してもよく、掛けてから引き算しても、引いてから掛け算してもOKです。これが分配法則です。
3×(4+5)= 27
3×4 + 3×5 = 27
と同じ結果となりました。
引き算や割り算では、交換法則と結合法則は使えない
ところで、引き算や割り算の場合は、交換法則、結合法則は成り立ちません。
結合法則・・・30-4-5 ≠ 5-4-30
交換法則・・・30-(4-5)≠(30-4)-5
引き算の場合
計算の結果は変わってしまいます。交換法則では、
30-4-5 = 24
5-4-30= -29
となり、異なる結果となります。また、結合法則では、
(30-4)-5 = 24
30-(4-5)= 31
と、異なる計算結果になってしまいますから、引き算や割り算をするときには、交換法則、血同法則は使えません。
でも、引き算を、マイナスの値の足し算として考えるのであるのであれば、法則は成り立ちます。引き算とは負の足し算ですから、法則に基づいて式を扱うことができるようになるのです。
3+(-4)+(-5)=(-5)+(-4)-3
3+[(-4)+(-5)] = [ 3+(-4))] +(-5)
これであれば成り立ちます。交換法則では、
3+(-4)+(-5)=-6
(-5)+(-4)+3=-6
と、同じ結果となりますし、結合法則でも
3+[(-4)+(-5)] = -6
[ 3+(-4)] +(-5)= -6
となり、同じ計算結果となります。4を引くことを、-4を足すということに置き換えるのです。
割り算の場合
割り算の場合も同様です。割り算の場合は、交換法則、結合法則が成り立ちません。
5÷4÷3 ≠ 3÷4÷5
(5÷4)÷3 ≠ 3÷(4÷5)
当たり前ですが、交換法則では、
5÷4÷3 = 0.416
3÷4÷5 = 0.15
という異なる結果となります。結合法則でも
(5÷4)÷3 = 0.416
3÷(4÷5)= 3.75
と、異なる結果になります。
しかし、割り算を分数の掛け算に直してやれば、交換法則、結合法則が成り立つようになります。割り算とは、分数で表した逆数の掛け算です。
法則に基づいて式を扱うことができるようになるのです。
5×(1/4)×(1/3)=(1/3)×(1/4)×5
[(5×(1/4)] × 1/3 = 5 × [(1/4)×(1/3)]
これで式が成り立ちます。
交換法則では、
5×(1/4)×(1/3)=0.416
(1/3)×(1/4)×5=0.416
と同じ結果となりました。
結合法則でも、
[(5×1/4)] × 1/3 = 0.416
5 × [(1/4×1/3)] = 0.416
となります。
数学法則について把握しておく
統計学の分析方法など、数式で説明するときに、数学の法則が使われることが多々あります。統計学の教科書ではそういった法則について、説明されることはほとんどありません。
数学の法則については、別途学んでおくと、統計学を学ぶときのつまづきが少なくなるでしょう。