エクセルの関数で、正規分布NORM.DIST、二項分布BINOM.DISTなどをつかうときに、引数として、TRUEとFALSEを指定する必要がありますよね。
この記事では、TRUEとFALSEの違いについて書きした。エクセルのヘルプには、FALSEは確率質量関数の値、TRUEは累積分布関数の値を表示させると書かれています。それはどういうことかというと、
- FALSE(確率質量関数)は、指定した数値が発生する確率
- TRUE(累積分布関数)は、指定した数値以下の累積した確率
のことをさしています。TRUEを選択することによって、累積を効かせる、ということになります。
コイン投げを10回行って、そのうち表が出る回数を\(x\) とし、二項分布BINOM.DISTを考えてみましょう。
コイン投げで表が出るか、裏が出るかは、それぞれ1/2の確率です。表が出ることを成功である、とすると、成功確率0.5のベルヌーイ試行を、10回行って、表が1回出る確率、表が2回出る確率、表が3回が出る確率、それぞれを計算していくことになります。
FALSE・確率質量関数
「FALSE・確率質量関数」を用いるのは、10回のコイン投げのうち、表が1回出るである確率、表が2回出る確率、表が3回出る確率…、をそれぞれ計算する場合です。
エクセル関数で、二項分布の確率は、
=BINOM.DIST(成功数、試行回数、成功率、関数形式)を指定します。
=BINOM.DIST(\(x\)、10、0.5、FALSE)
と入力すれば計算できます。
成功数・・・コイン投げで表が出ることを成功とします。表が出る回数のことです。
試行回数・・・全体の試行回数のことです。
成功率・・・事前にわかっている確率のことです。コイン投げをして表が出る確率は、1/2 です。
たとえば、\(x\) に3 を入れれば、10回のコイン投げのうち、3回表が出る確率が計算できます。
回数\(x\) に0~10を当てはめて、それぞれ発生する確率を計算しますと、
10回中、表が出る回数が、
- 0回になる確率・・・0.00098
- 1回になる確率・・・0.0098
- 2回になる確率・・・0.0439
- 3回になる確率・・・0.1172
- 4回になる確率・・・0.2051
- 5回になる確率・・・0.2461
- 6回になる確率・・・0.2051
- 7回になる確率・・・0.1172
- 8回になる確率・・・0.0439
- 9回になる確率・・・0.0098
- 10回になる確率・・・0.00098
と表示されます。0~10回のそれぞれの確率を合計すると、1 となります。
TRUE・累積分布関数
「TRUE・累積分布関数」を用いるのは、10回のコイン投げのうち、表が出る回数が、ある回数以下になる確率をそれぞれ計算する場合です。
ある回数を3回と設定したら、0回、1回、2回、3回を合計した確率が計算できます。
エクセルのセルに、
=BINOM.DIST(\(x\)、10、0.5、TRUE)
と入力すると、表が出る回数が\(x\) 以下となる確率が表示されます。それ以下の確率を累積したものです(足し合わせたものです)。
10回中、表が出る回数が、
- 0回以下の確率・・・0.00098
- 1回以下の確率・・・0.01074
- 2回以下の確率・・・0.05469
- 3回以下の確率・・・0.17188
- 4回以下の確率・・・0.37695
- 5回以下の確率・・・0.62305
- 6回以下の確率・・・0.82813
- 7回以下の確率・・・0.94531
- 8回以下の確率・・・0.98926
- 9回以下の確率・・・0.99902
- 10回以下の確率・・・1.00000
その成功数以下の確率を合計した数値が表示されます。
TRUEとFALSE
FALSE・累積質量関数で計算した場合の3回目までの確率、
- 0回になる確率・・・0.00098
- 1回になる確率・・・0.0098
- 2回になる確率・・・0.0439
- 3回になる確率・・・0.1172
を足し合わせてみます。すると、0.178となりました。これは、TRUE・累積分布関数で計算した累積確率
- 3回以下の確率・・・0.17188
と一致します。
参考記事 ベルヌーイ試行と二項分布の違いと関係性