調和平均の意味と計算方法【時速の平均を計算するときに活用します】




調和平均とは、時速などを計算するときに使う平均値です。

時速を計算する

土日の休みに、都会から田舎へ車で遊びに行ったとしましょう。金曜日の夜に出発し夜中の道を走りました。道は空いているので車をかっ飛ばすことができました。

土日の2日を田舎で遊び、日曜日の夕方に都会へ帰り始めました。都会に近づくにつれて、車が増え、ついには渋滞となりました。行きは、平均時速80㎞ものスピードが出せたのに、帰りは、平均時速30㎞のスピードとなってしまいました。

単純に算術平均で計算すると、

(80 + 30 )/ 2 = 55

時速55kmとなります。しかし、行きのほうがスピードが速くて時間が短くて走行時間が短くなっていて、帰りは走行時間が長くなっているわけですから、その分、帰りの時速30kmのほうが影響力があるはずです。もっと時速は遅くなりそうです。

こんなときは、調和平均をつかって計算をします。このときの往復の平均時速はどのくらいなのでしょうか?

移動距離をakmとすると、かかった時間は、

  • 行きは\(\frac{a}{80}\)時間
  • 帰りは\(\frac{a}{30}\)時間

です。

行きと帰りを合わせて、(a/80)時間+(a/30)時間をかけて、往復したのですから2 × akmを走ったことになります。

時速=距離/時間ですから、

$$\frac{2a}{\frac{a}{80}+\frac{a}{30}}$$

の式で時速を計算できます。仮に 片道の距離 a = 1 とすると、

$$\frac{2}{\frac{1}{80}+\frac{1}{30}}$$

$$=\frac{\frac{1}{2}\times 2}{\frac{1}{2}\times (\frac{a}{80}+\frac{a}{30})}$$

$$=\frac{1}{\frac{1}{2}\times(\frac{1}{80}+\frac{1}{30})}$$

となります。これを計算すれば、

$$=43.636km$$

往復の平均時速は、43.6km/時 です。

調和平均の計算式

\(\frac{1}{調和平均x_H}\)は、逆数どうしの算術平均として定義されています。

$$\frac{1}{x_H}=\frac{1}{n}(\frac{1}{x_1}+\frac{1}{x_2}+…+\frac{1}{x_n})$$

※Hは、調和平均の意味である harmonic-mean の頭文字です。

※算術平均とは、ふつうの平均というか、一般的によく使われる、データの和をデータの個数で割ったもの

数式を変化させて、

$$x_H=\frac{1}{\frac{1}{n}(\frac{1}{x_1}+\frac{1}{x_2}+…+\frac{1}{x_n})}$$

行きは平均時速80㎞、帰りは平均時速30㎞でしたから、この数式に行きと帰りの時速を当てはめれば、

$$x_H=\frac{1}{\frac{1}{2}(\frac{1}{80}+\frac{1}{30})}$$

$$=43.636km$$

となります。

また、実際に往復した距離をつかって計算することもできます。実際に距離がわかるときは、このほうがわかりやすいかもしれません。

実際に往復した全距離を走行時間で割れば、往復した全距離のの平均時速が計算できます。これと同じことです。時速80kmで往路200kmを、時速30kmで復路200kmを走行したとしましょう。

往復距離は、400km

走行時間は、

\(\frac{200}{80}+\frac{200}{30}\)

= 2.5時間 + 6.666時間

= 9.166時間

時速は、

400km÷9.166時間

=43.636km/時

実際の走行時間で計算するとわかりやすいかもしれません。

コメント

  1. 匿名 より:

    単純に算術平均で計算すると、
    (80 + 30 )= 55
    上の式の左辺に/2が抜けているためおかしな式になってしまっている

    • tou より:

      申し訳ありません、間違えておりました。ご指摘くださいましてありがとうございます。修正させていだきました。