BINOM.DIST.RANGE 関数は、二項分布で、成功数が、ある成功数と他の成功数の間の数値になる確率を計算します。
この関数を使用するときには、試行回数、成功率、基準値を入力します。
これらの言葉の意味は次のとおりです。
試行回数
全体の試行回数のことです。
※実験や観測を「試行(trial)」といいます。
成功率
事前にわかっている確率のことです。たとえば、コイン投げをして表が出る確率は、1/2 です。
基準値
累積した成功率が、ある基準の値以上になるときの、最小の成功数を計算しますが、この「ある基準」がこれに該当します。
二項分布とは
このBINOM.DIST.RANGE 関数をつかう前に、二項分布について確認しておきましょう。すでに理解されている方は読み飛ばしてください。
成功するか失敗するか一定の確率があるベルヌーイ試行を、n 回行ったとき、何回成功するのかを示した分布が、二項分布です。
参考記事 ベルヌーイ試行と二項分布の違いと関係性
n回のベルヌーイ試行を行うときにちょうどx回成功する確率は次の式で計算できます。
f(x)=nCx × px ×(1-p)n-x
このコイン投げを10回行って、表が出る回数が従う二項分布をつくるときには、
10回のコイン投げを行って、10回のうち
- 表が0回出る確率
- 表が1回出る確率
- 表が2回出る確率
…と、計算していくと次のようにまとまります。
- f(0)=10C0 × 0.50 × 0.510−0 = 0.00098
- f(1)=10C1 × 0.51 × 0.510−1 = 0.0098
- f(2)=10C2 × 0.52 × 0.510−2 = 0.0439
- f(3)=10C3 × 0.53 × 0.510−3 = 0.1172
- f(4)=10C4 × 0.54 × 0.510−4 = 0.2051
- f(5)=10C5 × 0.55 × 0.510−5 = 0.2461
- f(6)=10C6 × 0.56 × 0.510−6 = 0.2051
- f(7)=10C7 × 0.57 × 0.510−7 = 0.1172
- f(8)=10C8 × 0.58 × 0.510−8 = 0.0439
- f(9)=10C9 × 0.59 × 0.510−9 = 0.0098
- f(10)=10C10 × 0.510 × 0.510−10 = 0.00098
で、これをグラフにすれば下記のようになります。
BINOM.DIST.RANGE 関数で指定した範囲の確率を計算する
上記したように
nCx × Px ×(1-P)n-x
の数式をつかって計算して二項分布を求めていく場合、実際に自分で計算するのはとても大変ですよね。
BINOM.DIST.RANGE 関数は、二項分布で、成功数が、ある成功数と他の成功数の間になる確率を計算します。
この例では、成功数はコイン投げで表が出る確率です。
セルに
「=BINOM.DIST.RANGE( )」
を入力し、
「=BINOM.DIST.RANGE(試行回数、成功率、成功数①、成功数②)」
試行回数、成功率、成功数①、成功数②を指定すると、計算されます。
10回のコイン投げでいえば、試行回数は10回です。成功率は、1/2です。
成功数は3 回から7 回 とします。
結果は、0.8906 となりました。
10回コイン投げをしたときの、各成功数ごとの確率を表にすると、こうなります。
成功数 | 確率 |
---|---|
0 | 0.00098 |
1 | 0.00977 |
2 | 0.04395 |
3 | 0.11719 |
4 | 0.20508 |
5 | 0.24609 |
6 | 0.20508 |
7 | 0.11719 |
8 | 0.04395 |
9 | 0.00977 |
10 | 0.00098 |
グラフにするとこうです。
成功数3 回から7 回の場合までの、それぞれの確率を足し合わると、0.8906 となりますね。
10回のコイン投げを行って表が出る回数(成功数)は、0.8906 の確率で、3 回から7 回の間になるということです。
成功数②を指定しないと、成功数が3 回のときの確率が計算されます。
結果は、0.1172 となりました。上記の確率の表や、グラフで読める数値と同じです。