確率の加法定理の2つの事象の場合、3つの事象の場合




和事象の確率の計算について書きました。

  • 2つの事象が排反事象であるとき
  • 2つの事象が排反事象ではなく、共通部分があるとき
  • 3つの事象で共通部分がある場合

の確率の求め方について説明していきます。

2つの事象が排反事象であるとき

AとBの2つの事象があって、これらが排反事象であるとき、 「AまたはBが起こる確率」はAが起こる確率とBが起こる確率を足したものになります。

「AまたはBが起こる確率」は、

$A\cap B=\phi$ ならば、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)$$

となります。これを加法定理と呼びます。

排反事象とは同時に起こらないことであり、AとBの排反事象は、$A\cap B=\phi$ と表記します。

$\phi$ は空事象のことであり、決して起こらない事象のことを指します。

「A∪B」は、「AカップB」と読み、AまたはBが起こることです。AかB、どちらか一方でも起こればいいわけです。

P(A∪B)は、「A∪B」の確率を表しています。英語のprobability(確率)の頭文字をとって、Pです。

コインを投げて、表・裏どちらがでるのかを考えてみましょう。

表面が出る事象と、裏面が出る事象があります。

これは、ベン図を書くとわかりやすいです。ベン図とは、標本空間や事象の概念を明らかにして、複数ある事象がお互いに排反であるかどうかを示すのに用いられます。

確率論では、起きうることがらを事象と呼びます。

ベン図とは、集合と要素の関係を見やすくしたものです。コインを1回投げたときに、起きうる事象は、表が出る、裏が出るですよね。この個々の結果のことを標本点といい、それらを合わせた全体のことを標本空間といいます。

標本空間を長方形で書いて、その中に標本点を円で書き入れた図になります。

AとBの2つの事象のことを考えてみましょう。

「P(A∪B)」で、AまたはBが起こる確率のことを示します。上のコイン投げの例でいえば、表か裏が起こる確率であって、それはp=1となりますね。

繰り返しになりますが、「AまたはBが起こる確率」は、

$A\cap B=\phi$ ならば、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)$$

となります。

2つの事象が排反事象ではなく、共通部分があるとき

また、事象AとBが排反事象でなく、共通部分がある場合はどうでしょうか。ベン図で書くとこうなります。

たとえば、サイコロで1、2、3のいずれかの目が出るという事象と、奇数の目が出るという事象があったら、1の目が出る場合と3の目が出る場合は重複しているわけです。

P(A∪B)の確率を計算するとしたら、共通部分があることを考慮しないといけません。

結論からいうと、次の式を用います。

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)$$

共通部分である、P(A∩B)を引いてやります。

「A∩B」は、「AキャップB」と読み、AかつBが起こることです。AとBの両方が起こることです。

では、その理由を説明していきますね。

排反事象であるときと同じように P(A)+P(B)をすると、重複している箇所がありますから、その分、値が増えてしまいますよね。

サイコロを振って「1・2・3の目が出る」のをA、「奇数が出る」のをBとし、どちらかが起こる確率を考えてみます。(AまたはBが起こる確率)

$A\cap B=\phi$ ならば、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)$$

この式 を用いたとしたら、

  • 「1・2・3の目が出る」確率は1/2
  • 「奇数の目(1・3・5)が出る」確率も1/2

ですから、

$$P(A\cup B)=0.5+0.5$$

$$P(A\cup B)=1$$

「1・2・3の目が出る」か「奇数の目が出る」どちらかが起こるのは、P=1.0 となってしまいます。

4の目が出る場合、6の目が出る場合は、ここに含まれていません。それら抜きで、P=1.0の確率になってしまうのです。

4、6の目が出る場合の確率を足したら、P=1.0 を越えてしまいます。

確率の基本ルールとして、どのような事象でもすべてを合計した確率は、0~1 の間にならなければおかしな話です。

これは、上のベン図のように重複している分があるからです。

  • 1の目が出ることと、奇数がでること
  • 3の目が出ることと、奇数がでること

は重複しています。この2つが起こる確率は P= 2/6 ですよね。この分を差し引いてやる必要が出てくるのです。ですから、

  • 「1・2・3の目が出る」確率と「奇数が出る」確率を足す
  • そこから「1・2・3の目が出る」かつ「奇数が出る」部分、つまり「1の目が出る確率」と「3の目が出る確率」を引く

ことになります。

$$P=\frac{3}{6}+\frac{3}{6}-\frac{2}{6}$$

$$=\frac{4}{6}$$

P(A∪B)、つまり「1・2・3の目が出る」かまたは「奇数が出る」確率は、4/6となりました。

このように、共通部分だけ差し引いてやることを、事象A、事象Bで考えると、(A∪B)の確率は、

$$P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)$$

となります。

あとからP(A∩B)を引くのではなくて、ひとつずつ数えていくとこうなります。

「1・2・3の目が出る」かまたは「奇数が出る」のは、

  • 1の目が出ること
  • 2の目が出ること
  • 3の目が出ること
  • 5の目がでること

の4つです。1回のサイコロを振って起こりうる事象は、1~6の目のいずれかが出ることですから、すべての事象が6、そのうち「1・2・3の目が出る」か「奇数が出る」の事象は4つです。

よって、サイコロを振って「1・2・3の目が出る」か「奇数が出る」どちらかが起こる確率は、4/6となります。

また、P(A∪B)、P(A)、P(B) は、次のようにもあらわすことができます。

$$P(A\cup B)=P(A\cap B^c)+P(A^c \cap B)+P(A\cap B)$$

$$P(A)=P(A\cap B^c)+P(A\cap B)$$

$$P(B)=P(A^c \cap B)+P(A\cap B)$$

ベン図で確認してみましょう。

「$A^c$」の右上についた$c$ は、Aが起きないこと(=余事象)であることを示しています。

3つの事象で共通部分がある場合

3つの事象で、下記のベン図のように共通部分があるときのことを考えてみましょう。

3これは、$A\cap B^c$、$A^c \cap B$、$A \cap B$の3つの事象の和事象でも同じです。

A∩B上付きC、AC∩B、A∩B

3つの和事象、P(A∪B∪C)の確率を計算する場合、

それぞれの重複が無ければ、

$$P(A\cup B\cup C)=P(A)+P(B)+P(C)$$

となります。

重複がある場合は、

$$P(A\cup B\cup C)=P(A)+P(B)+P(C)-P(A\cap B)-P(B\cap C)-P(A\cap C)+P(A\cap B\cap C)$$

重複した箇所を引いた後、最後に $+P(A\cap B\cap C)$している理由は次のようなものです。3重に重なっている箇所が、

$$-P(A\cap B)-P(B\cap C)-P(A\cap C)$$

と、3 回マイナスしてしまってます。すると、P(A∩B∩C) が空っぽになってしまって、その分が無くなってしまいますから、

$$+P(A\cap B\cap C)$$

をして調整しているのです。

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