パレート図(QC7つ道具)の作り方と見方・使い方【パレートの法則と重点志向も解説】

パレート図とは、件数や金額など項目ごとに数値を算出し、数値の大きい順に棒グラフにして、さらに累積%の折れ線グラフを組み合わせた図です。

※累積%とは、%の数値を足し合わせていったものです。

項目ごとの重要度を把握し、重点指向で問題解決をするために活用する図です。

パレートの法則とパレート図

全体の大部分を生み出しているのは、ごく一部であることが多いです。

これを「パレートの法則」といいます。

その数値は、大部分(全体の80%)、ごく一部(全体の20%)になることから、「80:20の法則」とも呼ばれています。たとえば、次のようなことです。

  • 会社の売上の80%は、全顧客のうち20%の顧客からの売上である
  • 会社の売上の80%は、全商品のうち20%の商品の売上である
  • ある製品のロスの80%は、全要因のうち20%の要因から生まれている

身の周りの出来事や問題のデータを見てみると、このパレートの法則に当てはまることが多々あるのではないでしょうか。

中小企業では、売上の大部分の一部の顧客に依存しているのはよくあることです。それから、会社の売上の多くを主力製品が生み出し、その他あまり売れていない商品が少ない売上を上げています。

年間の製品別売上構成が下の表のような会社があったとしましょう。

☆製品ごとの売上

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売上が大きい順にならべ、売上全体のなかでの割合%、累積%を記載しました。

累積%は、%の数値を足し合わせていったもので、C製品の72%という累積%は、A製品の割合32%と、B製品の割合24%、C製品の16%を足し合わせたものです。

累積%は、最後には100%になります。

上記の表のデータでいうと、各製品の売上を大きい順に棒グラフで、累積%を折れ線グラフであらわしたものが、パレート図です。

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A、B、C、Dの3製品だけで、全体の80%の売上を占めていますね。売上を生み出しているのは、主に上位の主力商品であることがわかります。

累積%の折れ線グラフの伸びが、A~C製品くらいまではいいのですが、D製品あたりから伸びなくなってきています。

E製品以下の製品は、あまり売上への貢献度は低いといえますね。

上位5位だけを表示して、6位以降は「その他」としてまとめてしまってもいいでしょう。

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シンプルになって見やすくなりました。

パレート図の役割と使い方

上の売上構成をもつ会社が、自社製品の改善を行ったり、製造工程を見直してロス率を削減する活動を行う時には、どの製品から手をつけたらいいでしょうか。

上位の製品は、売上金額が大きい分、改善がなされれば利益改善額も大きくなりそうです。

一方、下位のH製品とか、J製品の改善を行ったとしても、利益貢献度は高くはないはずです。

ですから、上位の製品に対して行うべきですね。

A製品のロス率を1%減らせば16万円の効果がありますが、J製品のロス率を1%改善してもたった5,000円ですから、どちらに力を注ぐべきなのかは明白です。A製品または、B製品の改善から着手すべきです。

このように、些末なものには目をつむって、より重要な項目にたいして働きかけることを「重点指向」といいます。

重点指向を志すために活用するのが、パレート図です。

パレート図を作ったり見たりすることで、なにが重要なのかをビジュアル的に理解できるようになります。そして、上位20%に力を注ぐという重点指向で仕事をしていくのです。

※実際には、売上金額と改善できそうな%を掛けた金額でみるのがいいです。一番の売り上げているA製品であっても、もう改善するところが全く残っていないのであれば、実施しても効果は望めないかもしれないので。

会社の中にはさまざまな問題があり、A製品にもB製品にも、K製品にも問題点はあります。

あっちの問題、こっちの問題に目移りしたり、問題が発生したものから順番に手を付けていってしまいがちです。たとえば、K製品に何か目立つ問題があると、そこへ時間・労力をたくさんつかってしまいます。売上向上への効果は少ないにも関わらずです。

K製品の問題はどうでもいいわけではないのですが、改善の効果は大きくはならないので、優先順位は低くすべきで、A製品、B製品に時間を使うべきです。A製品、B製品にはもう効率よく改善できる箇所が残っていないのであれば、次はC製品、D製品・・・という順です。

全体の中で大きな割合を占めるものはごくわずかであり、逆に、残りの大部分は取るに足らないこと、たいしたことがないことが多いです。

重点指向を意識して仕事をすることで効率的に問題解決をすることができます。この考え方とその手法であるパレートの図は、どんな仕事にも活用できます。ぜひ、普段から重点指向を意識し、パレート図を使ってみてください。