インターネットでのアンケート調査のバイアスと信頼性

日ごろ私たちが目にするアンケート調査の結果は、インターネットの調査で行われているものがありますよね。

インターネット調査にはバイアスはないのでしょうか。また信頼できるものなのでしょうか。

インターネット調査にはバイアスが生まれやすい

アンケート調査で行うサンプリングは、無作為抽出かそれに準ずる抽出ができていることが求められます。

しかし、インターネットの調査では

  • インターネットを使用していて、
  • アンケートに答えてもいいと思う人

が答えているのであって、無作為抽出になっていません。

バイアスが存在している可能性があります。

統計学で言うバイアスとは日本語でいえば「偏り」で、観測値から得た母集団の推定値と、真の値との間にある偶然にできたものではないズレのことです。

これは、偶然の誤差とは異なるもので、系統的に発生してしまう誤差です。

参考:統計学のバイアス(偏り)の意味。認知バイアスとは違います

WEBサイトに掲載される記事で見かける、インターネット調査をもとにした「人々は○○と考えている」といった主張。

これは、けっして日本全体の人がそう考えているのではなく、インターネットをつかう人で、さらにアンケートに答えてくれた人の中での限定的な調査です。

それは、はっきりとは明示されることなく、記事の一番下に「インターネットでのアンケート調査で、○○人に調査」と記載されているくらいです。

たとえば、ビジネス系のサイトが、読者の20~30代のビジネスパーソンに行ったアンケートがあったとします。

内容は仕事に対しての意識調査。当然こういったサイトを見るビジネスパーソンは仕事に熱心な人が多いでしょうから、「仕事に対する意識は高い人が多い」といった結果が得られるはずです。

日本の20~30代のビジネスパーソンの意識調査をするのであれば、その全員から無作為に回答者を選ばなくてはいけないのに、ビジネスの記事を自ら見る人の中から、回答者を募っているわけですから、アンケートに答える人とその結果には偏りが出そうです。

仕事に怠惰な人がビジネス記事を読むことは少ないでしょうから、そのような人が回答する確率は小さいでしょう。

ネットだけではなくリアルな調査でも同じことがあります。

たとえば、占いの雑誌にアンケートハガキがついていたとします。ここに、あなたは占いを信じますか?という質問があり、雑誌編集部にハガキを送付できるようになっています。

雑誌編集部は、郵送があったアンケートハガキのデータを収集しました。後日、この雑誌に結果が掲載され、ハガキに書かれた結果が、信じる人が90%、信じない人が10%であったことを根拠として、

「90%の人が占いを信じているのです。」

といった主張されたとしましょう。

それは、この占いの雑誌を読んだ人の中で、かつ、わざわざアンケート用紙に記入をして郵送した人の90%が占いを信じているにすぎないのですが、世の中の90%の人が占いを信じているかのように感じてしまう人もいそうです。

インターネット調査の信頼性

インターネット調査の話に戻します。調査で得られる結果は、インターネットを使っていて能動的にアンケートに答えた人たち意見・考えです。

インターネットを使わない人の意見・考えは、その中には含まれておらず、抜け落ちていることになります。

インターネット調査の結果を見る時には、この点を考慮しなくてはいけません。

では、なぜインターネットアンケート調査を行うのかというと、それはコストがかからないからです。

郵便でアンケート用紙を送ったり、電話をかけて話をしたり、直接家庭に訪問して質問したりするのは、郵便代や用紙代をかけたけど答えがもらえなかったり、目的の人が自宅にいないこともあります。労力がかかりますので、安価に簡単にできるインターネットのアンケート調査を行うようになるのです。

アンケート調査は無作為抽出ではないという欠点には目をつむって、その結果をもとにして、分析を行ったり記事を作成したりするわけです。インターネット調査の結果を見たり利用するときには、この点を考慮しましょう。

しかし、調査したいと思っている母集団が、インターネットをつかう人であり、能動的にアンケートに答える人たちであるなどすれば話は違います。

母集団全体の人々と、サンプリングした人々の特性が同じであり、サンプリングした人々の意見が母集団全体を代表しているのであれば、インターネット調査の結果も有用なものとなりえます。

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