ε(イプシロン)は、誤差項を示す記号です。
たとえば、回帰モデルの誤差項を示すものとして用いられます。
回帰分析とは、2つの変数XとYがあったら、
2つの変数の定量的に表す数式をつくるもので、Xがこうなったら、Yはこうなるだろうと、予測することに使えます。
母回帰方程式は、
Yi= β1 + β2Xi + εi
と表され、ε の部分が誤差項です。誤差項 ε の推定量は e (eハット)で表されます。
また、大数の法則でも、次の式ように使われることがあります。
P(|r/n-0.5|≦ ε )→ 1 ( n → ∞ )
試行の回数を増やしていくほど、結果は本来の確率に限りなく近づいていくことを大数の法則といいます。たとえば、コイン投げをして表が出るか裏が出るかを見てみるとき、表が出る確率、裏が出る確率は、それぞれ50%です。
何度もコイン投げをして表が出たか、裏が出たかを記録していくと、最初のうちは表ばかりが出ているといったことがありえるでしょう。
しかし、何度も試行を重ねているうちに、表が出る確率は本来の確率である50%に近づいていきます。
n をコイン投げの回数、r を表が出た回数とすれば、ε がどのように小さい正の数であっても、
P(|r/n-0.5|≦ ε )→ 1( n → ∞ )
が成り立ちます。表が出る確率(r/n)は0.5に近づくので、0.5 を引いた数の絶対値(つまり、0.5からの差)は、小さい正の数であるε 以下になる確率が、1に近づいていくことを示しています。
ようするに、0.5からの誤差がなくなっていくということです。
ε はこのように誤差項を表す記号として用いられます。