p値が小さいほど、2つの平均の差は大きくなるのか




2つの母集団の差を検定するときのことを考えてみます。このとき、p値が小さければ小さいほど、母集団の平均値の差が大きいと言えるのでしょうか。

場合によっては、そうなることもありますが、p値が小さければ、平均値の差が大きくなるとは言うべきではないでしょう。

p値はそういった意味でつかうものではないからです。

p値の大きい小さいを左右するものには、2つの母集団の平均値の差に加えて、標準偏差や標本サイズがあります。標準偏差が小さく、標本サイズが大きいほうが、p値は小さくなります。

また、平均値の差が大きいほうが、たしかに小さいp値が得やすいです。(標準偏差と標本サイズが変わらなければ、p値が小さくなるほど、平均値の差は大きいともいえます。)

しかし、p値は2つの母集団の差が大きいことを示す指標ではありません。p値は、2つの母集団の平均値に有意な差があるかを判断する境界線の%です。

2つの母集団の平均値に差はないと仮説したときに、観測によって得られたデータは、何%の確率で偶然に得られるのか?その%の数値を調べ、p値と比べて小さな値であれば、偶然ではないと判断するためのものです。

上記したように、たしかに、平均値の差が大きいとp値は小さくなりやすいですが、標準偏差と標本サイズもp値に影響を与えますし、p値は「p値が小さいから、平均値の差が大きいぞ」と判断するためにつかうものではないのです。